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日産「リーフ」のリチウムイオン電池が、東日本大震災の津波に耐えたことが明らかに【今日は何の日?12月29日】

■東日本大震災の津波でもリーフのバッテリーが無傷だったことをアピール

リーフの車体構造とリチウムイオン電池システム
リーフの車体構造とリチウムイオン電池システム

2011(平成23)年12月29日、前年の12月にデビューした日産自動車の「リーフ」が、2011年3月11日の東日本大震災の津波の被害に遭っても、リチウムイオン電池が無傷で発火も起きなかったことが、北米日産のコメントで明らかになりました。


●リーフのリチウムイオン電池の高い安全性を証明

2010年12月20日にデビューした日産リーフは、本格的な量産型電気自動車として大きな注目を集めました。駆動用バッテリーは、容量24kWhのラミネート型リチウムイオン電池で、バッテリーセルを192個並列に接続して床下に搭載し、満充電時の航続距離は200km(JC08モード)でした。

2010年にデビューした電気自動車リーフ
2010年にデビューした電気自動車リーフ

デビューの翌年2011年3月11日に、世界を震撼させた東日本大震災が発生。北米日産によると、3月11日当日は20台を超える納車前のリーフが津波の被害に遭い、車両が押し潰されるなどしたが、その全てのバッテリーが無傷で、海水に浸ったことによる発火も起きなかったとされています。

北米日産のボブ・ヤスシ氏は、メディアの取材に対して、“リーフのリチウムイオン電池は、気密構造で二重のスチール製カバーで覆われているので安全”とコメントしました。

●リチウムイオン電池には万全の安全対策が必要

リチウムイオン電池の化学的性質は非常に活発なので、重量当たりのエネルギー密度は鉛電池の5倍以上、ニッケル水素電池の2倍程度あります。そのため容易に高電圧が得られるので、EVやPHEVのほとんどがリチウムイオン電池を駆動バッテリーとして採用しています。

ただし、鉛電池やニッケル水素電池で使われている電解液が無機系で不燃性なのに対して、リチウムイオン電池は可燃性の有機溶媒を使っているので、使用に際しては高い安全対策が要求されます。

万一、リチウムイオン電池が崩壊して内部短絡が起こると、ショートによって連鎖的な発熱、発火が起こり、また内部に電解質が含まれる水や塩水が侵入すると発熱反応が起こり発火に至る恐れがあります。特に塩水の場合は、電解質の含有量が多いので反応が促進されるのです。

そのため、バッテリーパックは破壊されないこと、水や塩水が侵入しないことが安全のためには必須条件なのです。

●国際安全基準に準じて安全性が保障されているリチウムイオン電池

リーフのバッテリーモジュール
リーフのバッテリーモジュール
リーフのラミネート型バッテリーセル
リーフのラミネート型バッテリーセル

通常EVのリチウムイオン電池は、車両の床下に搭載。正極と負極、電解液で構成される単一ユニットを“バッテリーセル”、セルをグループ化したものを“バッテリーモジュール”、さらにそれを組み合わせてクルマに搭載される最終形態を“バッテリーパック“と言います。

その外装部はスチールやアルミ合金が使われていましたが、最近は軽量化のために強化樹脂製なども採用されています。

日産リーフのバッテリパック
日産リーフのバッテリーパック

バッテリーパックは、例え衝突事故が発生しても、また洪水や津波などでクルマが浸水しても損傷・破壊しないことを前提に、リーフのように気密構造で強固なスチール製カバーで覆われているのが一般的です。

さらに、破壊や浸水といった問題だけでなく、EVに搭載されるリチウムイオン電池には国連協定規則に準じた多くの試験が課せられています。

規定されているのは、輸送振動試験、熱衝撃・サイクル試験、衝撃試験、圧壊試験、外部短絡試験、過充電・過放電試験、過昇温試験、高製試験で、これらをクリアすることが絶対条件なのです。


かつては海外メーカーのEVで、リチウムイオン電池に起因する火災事故が発生することもありましたが、現在はほぼそのような事例はありません。リチウムイオン電池にとっては、性能やコストとともに、安全性の確保が重要テーマなのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン



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