■HVベースでバッテリー容量を増やし外部充電機能を付加
2011(平成23)年11月29日、トヨタは「プリウスPHV(プラグインハイブリッド)」を発表、販売は翌2012年1月から始まりました。
プリウスPHVは、3代目「プリウス」のハイブリッド(THS-II)をベースに高容量リチウムイオン電池を搭載し、外部電源から充電を可能にしたプラグインハイブリッドシステムです。
●PHVのベースは、大ヒットした3代目プリウス
量産初のハイブリッド車である初代プリウスが誕生したのは、1997年のこと。“THS(トヨタ・ハイブリッドシステム)”によって、同クラスのガソリン車を圧倒する燃費を達成し、大きな注目を集めました。その後、2003年の2代目で進化を遂げ、2009年の3代目はさらに完成度を高め、世界中で大ヒットを記録しました。
3代目プリウスに搭載された進化版ハイブリッドシステムTHS-IIは、モーター出力50kW→60kWの増大とともに、エンジン排気量を1.5Lから1.8Lへ拡大し、エンジン+モーターの最高出力は110PSから136PSへと大きく向上。
排気量の拡大は、課題とされたパワー不足と高速燃費を改善。低燃費エンジンとTHS-IIの組み合わせや世界トップクラスの空力性能によって、燃費はトップクラスの38.0km/Lを記録しました。
2代目で高まった人気を一気に爆発させた3代目、プリウスが世界中でハイブリッドの代名詞となったのもこの世代からです。
●人気の3代目プリウスをベースにした初代PHV誕生
3代目プリウスをベースにした初代プリウスPHVは、ハイブリッドシステムTHS-IIに大容量のリチウムイオン電池を付加し、家庭用電源などから充電を可能にした外部充電機能も装備したシステムです。
電池容量を増やすことで、EVの走行距離を延長し、充電した電気を使い切ったら、通常のハイブリッド走行をします。また外部給電機能も装備されているので、災害時には搭載電池の電力を外部施設に供給することもできます。
プリウスPHVのEV走行距離は、HVの10倍にあたる26.4km。家庭用電源からも充電できるので、電気代の安い夜間に充電すれば、HVの約半分の燃料代で走行できるとのこと。燃費は、ガソリンとモーターを併用して57km/L(JC08モード)を達成しました。
車両価格は、ベースグレードで320万円と340万円、これは3代目プリウスの205万~245万円より約100万円高い設定です。ただし、価格の割にEV距離が26.4kmと短かったため、市場に大きなインパクトを与えることはできませんでした。
●新型3代目プリウスPHVでは燃費、性能とも飛躍的に向上
2017年、トヨタは「プリウスPHV」を5年ぶりに全面改良して2代目に移行しました。
初代の航続距離が短いという反省点を踏まえ、2代目プリウスPHVは、リチウムイオン電池の容量を4.4kWhから8.8kWhへと倍増し、EV航続距離は68.2kmへと大幅に改善。5年の間にリチウムイオンバッテリー自体の進化と電動システムの改良が、EV航続距離向上につながったのです。
そして、2023年3月には3代目となる新型プリウスPHVが鮮烈にデビュー。新型は、クーペ風スタイリングを採用し、PHVシステムの機能も大幅に進化しました。
エンジンを1.8Lから2.0Lに拡大、リチウムイオン電池の容量を13.6kWhへと増量、航続距離は68.2km→105km(17インチタイヤ)に延び、加えてシステム全体の最高出力は122PS→223PSと大幅にパワーアップされ、優れた燃費とスポーツカー並みの動力性能を誇っています。
初代PHVは、航続距離の短さからあまり話題になりませんでしたが、新型PHVではスタイリングも含めて大変身しました。長くHVを戦略のコアにしてきたトヨタでしたが、HVだけでなくPHV、BEV、FCEV、水素エンジン、e-Fuelなども進めており、全方位でカーボンニュートラルに対応するという本気度の表れですね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
(Mr.ソラン)
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