■アウトドアブームに応えて登場したRV
1982（昭和57）年8月30日、RVブームの先駆け的な存在となったトヨタ「スプリンターカリブ」がデビューしました。1980年代初頭に人気に火が付いたアウトドアブームに対応した4WDのワゴンという、当時としては新しいタイプのクルマでした。
●1980年代に起こったRVブーム
最近は、SUVという言葉が使われることが多く人気を博していますが、2000年以前にはRVブームが市場を席巻していました。RVは、”リクレーショナルビークル”の略で、オフロードで優れた走破性を発揮して、多人数でアウトドアなどを楽しめるクルマを指します。
RVブームというと、オフロード車として一世を風靡した三菱「パジェロ」などが有名ですが、RVはオフロード車やクロカン車だけでなく、広義にはミニバンやステーションワゴンを含めた、現在のSUVとほぼ同義の総称です。
排ガス規制やオイルショックから解放された1980年に入ると、自動車メーカーは高性能モデルや高級車だけでなく、キャンプなどのアウトドアを楽しむRVのような多目的車の開発にも積極的に取り組みました。
それまでの武骨なオフロード車や商用車ベースの1BOXではなく、乗用車をベースにしたワゴンタイプのRVの先駆的な役割を果たしたのが、スプリンターカリブでした。
●個性的な背高ワゴンスタイルの多目的車
スプリンターカリブは、ターセルをベースに“ニュー・アクティブ・ビークル”というキャッチコピーで登場しました。アウトドアを快適に楽しむために、通常はFF走行、オフロードや雪路では4WDとするパートタイプ4WDを装備したワゴンタイプのRVです。
ハイルーフに大型のウィンドウガラス、高い最低地上高、縦長のリアコンビランプなど、既存のワゴンとは一線を画する個性的なスタイリングが特徴的でした。さらにホイールベースを長くして、室内空間や荷室は1クラス上の広さを実現し、乗員の開放感を向上。搭載エンジンは、4WDが構成しやすい縦置きターセル用1.5L OHC、駆動方式には新開発の走行中でも切替え可能なFF／4WD機構が採用されました。
走破性に優れ、荷物がたくさん積めて開放感のある室内は、アウトドアファンから注目され販売を伸ばしました。
●RVブームの先駆けとなったが、リーダーにはなれなかった
アウトドアファンから支持されたスプリンターカリブでしたが、その後1983年のホンダ「シビックシャトル」、1984年の三菱「シャリオ4WD」、1984年のスバル「レオーネ・ツーリングワゴン」、1991年の三菱「RVR」と、RV指向を強めたライバル車の登場によって、人気は押されて存在感は薄れてしまいました。
しかし、ワゴンタイプのRVの人気に火を付け、多くのアウトドアファンの目を引き付けたという意味で、その後に隆盛をきわめたRVブームのパイオニアとしての貢献は大きいと言えます。
最近はクルマのジャンルとしてRVという言葉は使われなくなり、ほぼ同義でSUVが使われるようになりました。スプリンターカリブのようなワゴン車は見かけなくなりましたが、代わりに都会的な雰囲気のクロスオーバーSUVが大人気ですね。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。
（Mr.ソラン）
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