■小型の電動モビリティだけど、ヤマハ発動機は他社と違うものを創る
小型電動立ち乗り3輪モビリティ「TRITOWN(トリタウン)」をヤマハ発動機が第9回イベント総合EXPOに出展しています。
イベント総合EXPOというイベントは、イベントに関する展示会です。3輪モビリティ「トリタウン」は一見すると2輪の電動キックボードや、自動車メーカー各社も開発するスモールパーソナルモビリティと同類のように見えますが、実は少し違っています。
キックボードやパーソナルモビリティは、歩くには少し遠かったり、移動が困難な地域や人々のためのある種「必需品」としての利用を前提としたもの。生活に役立つものなわけです。
ところが、トリタウンのコンセプトは、世界遺産などの観光地や自然公園、大きなレジャー施設などで使うことを目的に開発されています。つまり、移動が目的でなく、移動しながらその地を楽しむ、もしくは移動そのものを楽しむための乗り物というわけです。
そのため、誰にでも乗れる(おそらく小学校中学年以上くらいから)とし、足をつかずとも自立することができます。2輪では景色を楽しみながら走るのは現実的でなく、止まるたびに片足を出さねばなりません。絶景に出くわし、サッとカメラを構える、なんて使い方をイメージできます。
それでいて、車体を傾けてコーナリングするなど、「走っても楽しめるようにできている」というのもヤマハらしいところ。これまでヤマハが転ばないバイクを目指して開発してきたLMW(Leaning Multi Wheel)テクノロジーを採用しているモビリティ。
そんなトリタウン、これまで高山市での公道、国営越後丘陵公園でのガイドツアー、つま恋リゾート彩の里ではレンタルとしての実証実験を重ね、細部を見直すなどしての今回のイベントEXPOへの出展、展示となったわけです。
トリタウンは、生活のための移動の道具ではなく、ツーリングやコーナーを気持ちよく駆け抜け、走ることを楽しむためのバイクを作っているヤマハらしい乗り物。観光や景観を楽しむ、そんな人間ならではの文化に役立つ乗り物を創りたい、というのもヤマハらしい発想と言えそうです。
(文・写真/クリッカー編集長 小林和久)
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