■オートカラーアウォード2021とは、今の時代をうつすカラーデザイン
1月26日、「オートカラーアウォード2021」のプレゼンテーションならびに表彰式が行われました。
このイベントは、四輪や二輪などモビリティのCMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)デザインの企画力や美しさなどを評価する目的で、一般社団法人日本流行色協会により1998年から実施されている顕彰制度です。
昨年度はコロナ禍により中止となりましたが、24年目となる本年度は初の全面オンライン方式で開催され、10社から12のデザインがエントリー。1車種10分間のプレゼンテーションと、素材サンプルの提出により審査が行われました。
では、3時間半に渡ったプレゼンテーションの中から、四輪車をピックアップして概要を紹介しましょう(発表順)。
●10分間に込められた明快なテーマ
三菱からは「アウトランダー」がエントリー、テーマは「BOLD STRIDE-WHITE DAIAMOND、BLACK DAIAMOND」。
通常はテーマカラーにならない白と黒を取り上げ、新たな光輝材によりハイコントラストで美しいグラデーション効果を実現。3つのカラー展開としたインテリアでは、ブラックとサドルタンの組み合わせが印象的でした。
「アリア」で参加した日産のテーマは「Ariya-Rise beyond the new horizon」。
日本独自の「禅」をイメージし、ストレスを廃するブルーグレーのインテリアと、日の出から朝への色の変化を表現したカッパー色のボディカラーを提案しました。
スバルは「WRX S4」と「BRZ」の2車で、テーマは「スポーツカーへのこだわり、CMFで新たな挑戦!」と直球勝負。太陽が持つエネルギーやプロミネンスから着想したオレンジやレッドのボディカラーと、CMFチームが開発した空力効果のある2種類の「シボ」をアピールしました。
続くホンダは「ヴェゼル」で、「自分のスタイルや可能性がAMP UP(増幅)するCMF」がテーマ。トレンチコートから発想した落ち着きのあるカーキのボディカラーや、派手ではなくちょっと気分が上がる(AMP UP)インテリアを紹介。「ジェネレーションC」へのアプローチが注目点です。
スズキは「ワゴンRスマイル」で参加。テーマは「MY STYLE MY WAGON こだわりを満たす、自分色に染められるうれしさ」。
「エレガント・スタイル」をキーワードに、華やかさと大人っぽさを兼ね備えたピンク系のオレンジを提案。インテリアにはカッパーの差し色を施しました。
マツダは「MX-30(EV含)」で「MAZDA サスティナブルCFM」を訴求。
深呼吸をしたくなるインテリア空間を目指し、自然素材のコルクや呼吸感素材としてペットボトルのリサイクル素材を提案。ボディカラーは、MX-30の特徴である上半身のフレームカラーの工夫が語られました。
最後にレクサス(トヨタ)は「LS500/500h」でエントリー、テーマは「Time in Design -月の道-」。日本独自の感性として闇の中でも光を映すシルバーのボディ色や、箔や西陣織といった伝統工芸を採り入れたインテリアへの挑戦をプレゼンしました。
●いまの時代を映すCMFデザイン
審査は「市場に影響を与えたか」「従来にない色域に挑戦して成果をあげているか」など6項目で行われ、本年度はレクサス(トヨタ)と日産がグランプリを同時受賞、マツダが特別賞となりました。Wグランプリは異例の結果ですが、それだけ審査票が割れたようです。
レクサスは伝統工芸とクルマの融合に取り組み、エクステリアとインテリアがひとつの塊になって見える点が評価。一方の日産は、日本の「禅」をグローバル視点でとらえた点が受賞理由とされました。
すべてのプレゼンを通し、本年度は「自然素材」「自分らしさ」「多様化」「静けさ」といった、いまの時代を大きく反映した空気が感じられました。落ち着きを伴った暖色系が多かったのがその一例で、非常に興味深い内容でした。
スタイリングであるエクステリアデザインに比べ、CMFデザイナーが注目される機会はそう多くありません。
しかし、今回のプレゼンのようにマーケティングから企画・コンセプト立て、素材研究に製造技術と、そのデザインの奥深さはエクステリアに匹敵するものです。
今後もこのコンテストを筆頭に、モビリティのカラーや素材、フィニッシュデザインがより注目されることを期待したいと思います。
【関連リンク】
一般社団法人 日本流行色協会 「オートカラーアウォード2021」
https://www.jafca.org/seminarandevent/20220126.html
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